腕や手の痺れを感じた時に、原因として候補に挙がってくるうちのひとつに

胸郭出口症候群というものがあります。

筋肉が血管・神経の通りみちを圧迫し、しびれや痛みなどの症状が起きます。

 

 

▼腕や手のしびれを感じたら

 

なで肩の女性に多いといわれているのが 『胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん)』です。

しかし、実際は男性にも多くみられ、格闘技などで斜角筋(首を支える筋肉)や

小胸筋(大胸筋の下層部にある筋肉)を鍛えている方にもよく起こります。

 

血管や神経を圧迫している部位によって、大まかに

A:斜角筋症候群(しゃかくきんしょうこうぐん)

B:過外転症候群(かがいてんしょうこうぐん)に分類されます。

 

胸郭出口症候群は、さまざまな原因で神経の通り道が狭くなり、

血管や神経を圧迫するために、肩こり、腕や手のしびれ、冷え、だるさなどの症状を引き起こします。

また、悪化すると、耳鳴りやふらつき感、後頭部から耳、口のあたりのしびれにまで及ぶことがあります。

脳や骨に異常が見当たらなかったり、ヘルニアなどの疑いがないのに症状がある場合、胸郭出口症候群を疑います。

 

 

A 斜角筋症候群とは…

「中斜角筋」「前斜角筋」「第一肋骨」の三つにが構成する三角形の隙間を

『斜角筋隙(しゃかくきんげき)』といいます。

この狭い通り道を腕神経叢という神経の束と鎖骨下動脈が通ります。

この斜角筋隙が狭くなり、神経と動脈を圧迫してしまうのが斜角筋症候群です。

 

 

B 過外転症候群とは…

外転というのは、体幹に腕を付けた状態から真横に挙げていく運動のことです。

過外転(かがいてん)とは、それが過度の状態です。

外転により、神経が肩甲骨の烏口突起と小胸筋の圧迫をうけると

腕神経叢という神経の束と鎖骨下動脈に障害が起こります。

 

 

 

 

では、以上の症状が出てしまうのはなぜでしょうか?

原因は様々あります。

 

 

 

原因 その1 (骨格により起こる場合)

骨格が原因の場合は大きく2種類に分けて、『①なで肩』『②筋緊張』があります。

 

 

① なで肩

猫背などの不良姿勢により、鎖骨が下に押し下げられ、なで肩を強いられると起こりやすくなります。

また、首がストレートネックになっていると、同時に猫背になりやすく

背中がまるまる分、顎を突き出した姿勢になるので発症しやすくなります。

 

胸郭出口症候群の約8割はなで肩と言われています。

正常な鎖骨の形は、『軽いV字』になっていますが、なで肩の人は鎖骨が一直線であるかハの字になっています。

肩を支える(持ち上げる)筋力が減少していることに起因します。

レントゲン検査などで鎖骨が直線、もしくはハの字型になっていて肩こりや手のしびれがある場合はご注意ください。

 

また、厳密な角度設定はありませんがVの字が強すぎる場合は、いわゆる「いかり肩」になります。

鎖骨が一直線からハの字の体型というのは、周辺の神経(腕神経叢)や筋肉が絶えず下に引っ張られている状態です。

ちょうと、ギターの弦がピ~ンと張っているのと似ています。

常にピ~ンと張っている状態なのでストレスがいつも加わっています。

軽く肩を持ち上げる(鎖骨が軽い逆ハの字型にする)と症状が和らぐのは

この張った神経や筋肉を “たわませる” 効果があるためです。

 

 

② 筋緊張型

小胸筋を中心とした胸の筋肉をよく鍛えている方の場合、

胸郭の出口が狭くなりやすいので発症しやすくなします。

格闘家のように顎を引き背中を丸くし低姿勢の状態でトレーニングをする方。

弦楽器(ギターやバイオリンなど)のように同じ姿勢で腕を小刻みに動かす。

重い荷物などをいつも決まった側で持っている(担いでいる)方は、特にご注意ください。

 

 

原因 その2 (その他)

整形外科的にはあまり着目されていませんが、斜角筋が緊張する原因として臨床上よくあるものに

『Ⅰ逆流性食道炎』『Ⅱ咳、クシャミ』があります。

 

 

Ⅰ 逆流性食道炎

逆流性食道炎とは、胃液が食道や口腔まで逆流してやってくる病気です。

胸焼けを主な症状としますが、喉頭部に慢性的な炎症を起こすことがあり

それが刺激となって斜角筋の緊張を起こします。

胸焼けやゲップ、胸のつかえ、慢性的な喉頭の違和感がある場合に疑います。

また、「食事をすると肩がこる」という場合も、逆流性食道炎を疑ってみましょう。

 

Ⅱ 咳、クシャミ、過呼吸、花粉症(胸式呼吸)

胸郭出口症候群の原因筋である斜角筋や小胸筋は呼吸の補助筋で、

激しい運動や咳、クシャミ、鼻をすする、過呼吸など、肩で息をするときによく働きます。

風邪の後、首肩の痛みや手のしびれが出たときや、普段から胸式呼吸の場合はこれを疑います。

 

 

その他(ストレスや緊張)

斜角筋はストレスや緊張、ショックなどに対し

敏感に反応して異常収縮を起こしやすい筋肉のひとつです。

 

 

 

上記の原因(撫で肩、筋緊張、ストレートネック、不良姿勢)は、全て猫背に起因しています。

また、実際の患者さんは、いろいろな状態が複合的して起こっている場合がほとんどです。

(四十肩・五十肩、ストレス、使いすぎ、疲労、職業性、運動不足など)

それらを加味して施術を行い、はじめて改善されるケースも少なくありません。

なので、問診を受けるときは、肩こりやしびれの症状を訴えるだけでなく、

体全般のことについてもお話しすることをおすすめします。

 

また、これらは長い期間かけて積み重なった負担による症状です。

姿勢なども含め、痛みや痺れを完全になくすためには、それなりの期間を要することが多いです。

手技療法・鍼灸治療どちらでも対応が可能ですので、

お気軽にご相談ください。

 

 

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